南国鹿児島に、めちゃくちゃ居心地が良いカフェみたいな薬局があるというので行ってみた

猫。

猫!

猫!!!

 

猫かわいいですよね。
こんにちは、薬剤師ライターの高垣です!

暑いですね。

自営業なのを良いことに、エアコンがんがんに効いた部屋の中から一歩も出ず、自宅待機率を90%以上に保つことを目標に過ごしているダメ人間なわたしです。

が。

最高気温35度超えを連発するこの時期に、外出しないといけない理由が出来てしまいました。

その理由は、コツコツ貯めたマイルの期限が今月消滅してしまう!!!!  からです!

マイル救済のための外出>>>>>>>>>自宅待機

というわけで、鹿児島です。

おお、暑そう……。
自動ドアの前にいるだけで熱風が……。
くじけずに外へ出て、薬局探しをしたいと思います。

鹿児島空港バス乗り場

え、冒頭の猫ですか?

いやあ、かわいいですよね!

タイトルと関係ないと思うかもしれませんが、実は大ありです。

冒頭の猫たち、み〜んな鹿児島で出会ったにゃんこです!!

鹿児島は、外出自由な猫が多いんでしょうか。看板猫さんが店先とか、お店の駐車場でごろごろしているのをよく見かけました。

そんな感じで、猫さんたちとの出会いを楽しみながらたどり着いたのがこちら。

みなみの薬局

どーーーーーん!!!

みなみの薬局さんです!

みなみの薬局
〒892-0854
鹿児島県 鹿児島市長田町15ー8
TEL:099-225-0003

物理的な壁をなくして、健康への情報の壁もなくす

みなみの薬局店頭

それにしても、本当に保険薬局なのでしょうか???

健康に関する選りすぐりのアイテムを取り揃えたカフェ併設のセレクトショップのような雰囲気です。

高垣
失礼します。
鎌田
こんにちは。

みなみの薬局管理薬剤師の鎌田貴志さん。
手に持っているのは、切り絵が趣味の鎌田さんが作った作品。
薬局の中には、鎌田さんの作品があちこちに展示されている。
薬局では定期的にワークショップを開催していて、切り絵も体験できる。

薬局に入って、出迎えてくれたのは管理薬剤師の鎌田さんです。

高垣
おしゃれなカフェ風の薬局があると聞いてやってきたのですが、本当に良い意味で薬局っぽくないですよね。
鎌田
そうなんです(笑)。
今は暑いので窓は閉めていますが、春は道路に面したガラス扉を開け放ってオープンカフェみたいにしていたんですよ。
高垣
外との仕切りをなくしていたんですか!?
めちゃくちゃオープンですね~。
鎌田
壁をなくして、誰でもふらっと立ち寄れるような場所を目指したんです。
高垣
なるほど!
でも、オープンすぎて、通りすがりの人たちの目が気になったりとかしませんか。
鎌田
全然。
理想としているのは、処方箋がなくても気軽に地域の人が立ち寄って、お茶でも飲みながら健康相談をしてくれるようなコミュニティなんです。
今年3月開店で、まだ薬局ができて4カ月。「なんかおもしろい薬局がある!」と、近所の方たちに知ってもらって、話題になったら思惑通りです。

近所の人たちが、処方箋があっても、なくても、なんとなく立ち寄っておしゃべりをしていく場所。自然な会話のなかで、ちょっとした健康についてのアドバイスができる場所。
そんな開かれた場所を目指しているからこそ、できるだけ外との壁を取り払った、オープンカフェのような薬局になったのですね。

仕事中の業務のムダをそぎ落として、1日1時間の自由時間を作ろう

外観がこれだけ革新的だと、きっと内部でも革新的なことが行なわれているような気がします。

はたして、調剤室の中はどのようになっているのでしょうか。

みなみの薬局の開設者で薬剤師の原崎さん(向かって左)と、管理薬剤師の鎌田さん(向かって右)。
2人は、以前に一緒にはたらいたことがある10数年来の薬剤師仲間。お互いに「この人と、また一緒にはたらきたい」と思って、みなみの薬局に集結したのだそう。素敵ですね。

みなみの薬局開設者で薬剤師の原崎大作さんも駆けつけてくださったので、原崎さんと鎌田さんに探りを入れていこうと思います。

と、思った矢先ですが……。

ん?

調剤台をズーム!!!!

高垣
すみません、質問です。
原崎
はい、どうぞ。
高垣
調剤の下の棚、どうして引き出しがないんですか。
それに……。

再び、ズーーーーム!

高垣
ここは、プラスチック容器を無くしちゃったんですか?
箱がむき出しで棚に入っているんですけど……。
鎌田
これも、調剤台の下の棚と同じ理由ですよ。

んんんんんん!? どうしてだろう。

高垣
降参です。教えてください。
原崎
1日の勤務時間、8時間のうち1時間くらいの自由時間が作れたら良いと思いませんか?
その時間は、自分の勉強や、日中に患者さんから質問されたことの調べものなど、自由に使っていい時間なんです。
どうですか?
高垣
めちゃくちゃ良いと思います!
原崎
じゃあ、その暇な時間を作り出すにはどうすればいいのか…というと、1日の業務を見直して、無駄な動作をとことん削ぎ落とし、時間を少しずつ節約するしかないんです。
高垣
え~っと、理屈は分かるんですけど、いくら要領が悪い人でも1日1時間も無駄にしていないと思いますよ。多分。
原崎
調剤台の謎は、実は業務の効率化と自由時間をつくることにつながってくるので、みなみの薬局で行なっている3つの時短術を紹介しながら説明しますね。

目指せ! 1日1時間の自由時間を作る「みなみの薬局」流・時短術

①計数調剤の無駄を省く

調剤業務のうち、多くの割合を占める計数調剤。
だからこそ、素早くピッキングできるようにしたいところ。

そこで、まず行なうことは調剤の頻度が高い医薬品を上の棚に、頻度が低いものを下の棚に振り分けることですよね。
さらに、誰が調剤業務に入っても同じ質で調剤ができるよう、その店舗に入って日が浅い人が見てすぐ分かるように、徹底的に五十音順に並べておくことです(できれば引き出しも!)。

「それくらいは、うちでもやってる」と思いがちですが、調剤棚の見直しは定期的に行なっていますか?
処方医の処方パターンが変わって出なくなった薬が上の棚に置いてあったりしませんか?

調剤棚の見直しを定期的に実行することは時短への早道になります。
忙しくても、できれば半年に1回、最低でも1年に1回は行ないたいところです。
(調剤スピードがアップすれば、忙しさも緩和されますよ!)

そして。
この引き出しの薬を見て、あることに気づきませんか?

そうです。引き出しの中で、しっかり五十音順に並んでいますよね。
しかも、ラベルが全て調剤者の方を向いています

ちょっとした小ワザですが、並び順も向きもバラバラな引き出しから、目的の薬を探すのに比べて数秒の時短になります。

この数秒が、1枚の処方箋につき数剤分、1日で数十枚分集まれば“ちりつも”効果で、数分の節約につながります。

前述のこちらも、あえて引き出しを使わないことで、在庫の種類や量にあわせてフレキシブルに対応できるようにしたそうです。
備え付きの引き出しだと、引き出しの数自体は変えることができませんよね。その結果、収納する薬を引き出しに合わせないとなりません。

でも、引き出しを使わなければ、上の棚には入りきらないけど、使用頻度が高いものは収納ケースから出して置く、といった工夫をして調剤のスピードをあげることができます。

プラスチックケースは使わずに、あえて箱を直置きにしているこれも、既成のケースに合わない薬を素早く取り出せるようにした結果なのだそう。
たしかに、外箱が大きい薬は、ケースを引き出すときに箱がひっかかったりしますよね。

細かいことだけど、ささいなことから改善点はないか見直してみるのがおすすめです。気軽に実践できて、“ちりつも効果”で、日々少しずつ時間の余裕を感じられるようになるのでモチベーションが上がります!

②調剤に使う道具の使い勝手にこだわる

これ、すごく良いアイデアです。

一包化に使うアイテムをマグネットでぺったん、と錠剤カセッターの上につけてしまうのです。
写真はないのですが、軟膏ベラも軟膏の調剤棚の枠の部分にぺったん、とくっついていました。

調剤で使うアイテムは、鉛筆立てのような容器に入れておいて、1日の業務の終わりに洗っていると思うのですが、こうしておけば洗い物が減って時短になります!

しかも調剤台の上がすっきりするし、調剤をするすぐ目の前にアイテムがあるので、道具を取りに行って戻るという動きを省くことも出来ます。

③監査後の薬の画像を残す

薬局ではたらいていて、どきっとするのは、「お薬の数が足りないんだけど」「薬が入ってなかった」「違う薬が入っていた」という問合せを患者さんから受けたときではないでしょうか。

絶対にあってはならないことなので、時間をかけ、神経を尖らせて原因究明にあたりますよね。

こういった問合せを受けたとき、素早く、しかも正確に回答するための方法があります。
それは、患者さんにお渡しした薬を監査あるいは投薬の段階で画像にして残しておくということです。

みなみの薬局では監査台や投薬カウンターにカメラを取り付けて、薬剤師の手元を撮影し、一定期間保管しています。
カメラなんて高そうと思うかもしれませんが、数千円で購入出来るそう。思ったより低コストで導入出来るのですね。

未来に起こるかもしれないリスクを防ぎ、患者さんの安全を守るためになる工夫です。

しかも、時間節約術とともに、薬剤師の安心にもつながりますよね。

時短実践のコツは、今の業務の当たり前を疑うこと

高垣
みなみの薬局の時間節約術、特に1つ目はどこの薬局でも実践しやすそうですよね。

あとは、それぞれの薬局が自施設のムダを見つけて、独自に時短術を編み出していくしかないと思うんですけど、時短できそうな業務のムダって、どうやって見つければ良いんですか。

原崎
処方箋を受け取ってから投薬までを細分化してみると良いですよ。

例えば調剤だったら「薬を探す」「トレイを引き出す」「箱を持つ」「シートをはさみで切る」「シートを輪ゴムで束ねる」「箱を戻す」「トレイを戻す」といった感じです。

高垣
かなり細かく分けるんですね。
原崎
そうなんです。
そして、1つ1つの工程の常識を疑ってみてください。

「実は、これっておかしいんじゃないか」「わざわざ時間がかかることをしていないか……」など、もし「あれ?」とひっかかることがあったら、とことん考えてみてください。

高垣
常識を疑う、ですか。
原崎
そうです。
当たり前と思っていることに対しても、それが本当にベストの方法なのか考え続けるのが大切だと思います。
高垣
もし、せっかく改善点を見つけても「うちの薬局は長いことこれでやってきたらいいの!」って、言われちゃったらどうしましょう。
原崎
業務の効率化をして、時間の余裕をつくるのはどうしてなのか、その根本を考えてみると良いと思います。

時短術を活用するメリットの一つは、自由時間を自己研鑽などに使えることもありますが、それよりもうれしいメリットは、患者さんと話す時間を長くとれることです。

患者さんの安心と安全のために、ムダを省いて時間の余裕を作りたい。そのために改善が必要なのだと、声をあげてみてください。情報を発信すれば、きっと同意してくれる人がいますから。

おわりに

鹿児島にある、オープンカフェみたいな「みなみの薬局」は、患者さんにも、地域の人たちにも、そしてはたらく人にも居心地のよい素敵な薬局さんです。

こんな薬局ではたらけたらなあ……と、取材の最初から最後までうっとりし通しでした。