【熊本×鹿児島+福岡】学校薬剤師座談会、のようなもの
学校薬剤師をしたことがありますか?
わたしはないです。周りに学校薬剤師をしている方もいなかったので興味はあるものの、実務を深堀りして聞く機会がありませんでした。
今回、偶然にも熊本、鹿児島、福岡で学校薬剤師をしている薬剤師が大集合する奇跡が起こったので、学校薬剤師の世界を語って頂きました。
登場人物
狩野壮太郎さん
熊本の薬剤師。山鹿いちご薬局勤務。空手家。空手の国際大会に出場するすごい薬剤師。
井上彰夫さん
鹿児島の薬剤師。ケーアイ調剤薬局勤務。鹿児島期待の星とウワサの人物。次世代の鹿児島を担うのはこの男だ!
中村守男さん
福岡の薬剤師。八幡西調剤薬局勤務。こどもと薬をテーマに語るならこの方。盛り上がる学校薬剤師トークに、途中から参加!
こどもに薬や健康のことを伝える学校薬剤師に、どうしてもなりたい!
井上さん:
狩野さんって、埼玉出身ですよね。どうして熊本にくることになったんですか?
狩野さん:
どうしても学校薬剤師になりたくて・・・。
「熊本で、学校薬剤師ができる薬局あるよ」って言われて、熊本に来ちゃいました。
井上さん:
え!?
学校薬剤師って、全国でできるのに?
狩野さん:
熊本に来てから気づきました。(笑)
井上さん:
(笑)。
そうだったんですね。
でも、どうして学校薬剤師に?
狩野さん:
地域に根ざした医療に関わりたいというのと、やっぱりこどもたちってかわいいじゃないですか(笑)。
水質検査をしていると「せんせい、なにやってるのー?」って。それで、担任の先生に「薬剤師さんの邪魔しちゃいけません。ちゃんとこっち見て!」とか注意されて。
井上さん:
あるあるですね(笑)。
狩野さん:
ぼくは空手家でもあるんですけど、習いにくるのはこどもが多いんです。彼らと接しているうちに、「この子たちに健康のことや、薬のことを伝える仕事がしたいな」って思ったんです。
学校薬剤師も、多職種連携で仕事をしている!?
狩野さん:
珍しいのかもしれないですけど、うちの地区は、学校訪問のときに保健所の人とかも一緒に4人くらいで回っているんです。
井上さん:
そうなのですか。
ぼくは、薬剤師1人で回っています。
複数人で学校を訪問するということは、 多職種で学内をチェックして回るっていうことですか?
狩野さん:
そうなんです。
多職種連携って、やっぱりメリットがあるんですよ。
例えば、学校のフェンスが壊れていたとき、修理に関して裁量できる人と一緒だと話が早い!
「フェンスが壊れていたら、イノシシとか入ってきて危ないですよ。衛生的にも問題ですし」って言うと「それもそうだ。すぐに直しましょう」って、とんとんと話が進むんです。
井上さん:
そんなメリットが!
学校でもやっぱり多職種連携は大切なんですね。
こどもの頃から「薬局」「薬剤師」に親しんでもらって、未来の薬剤師の存在意義を変えていく
狩野さん:
とても残念なことですが、病院で待たされて、薬局でも待たされて、そのうえ、根掘り葉掘り話を聞かれて時間を取られるのはいやだ! って、患者さんから言われてしまうことがあります。
井上さん:
そうですね、ぼくも経験があります。
狩野さん:
患者さんのためにどうしても必要な時間なのですが、いろいろ工夫してみても、患者さんの考え方を変えるというのはやっぱり難しい。
だったらどうするか、って考えてみたんです。
そして、ぼくが出した答えが「こどものうちから薬局や薬剤師に親しんでもらい、薬局の活用法、薬剤師の存在意義を伝えること」です。
今のこどもたちが大人になったときに、「薬剤師」の存在意義が変わっていたら・・・と思ったんです。
そんな思いや願いもこめて、ぼくは学校薬剤師を続けてます。
こどもたちからのメッセージは、なにものにも代えられない宝物
井上さん:
小学校でお薬の授業をすると、お礼のお手紙もらいますよね。あれ、すごくうれしくないですか。
中村さん:
うれしいですよね!
今までにもらったお手紙で、印象に残っているメッセージとかありますか?
井上さん:
ぼくは「将来、薬剤師になりたいです」っていうメッセージをもらったことかな。
薬剤師の認知度あがってきている、よし! って。
以前はほとんどいなかったのに、最近増えてきた感じがします。
狩野さん:
学校薬剤師やってて良かった〜、って思いますよね。
中村さん:
狩野さんは、なにか印象に残っているお手紙とかメッセージとかありますか?
狩野さん:
ぼくは、薬そのものの意味をちゃんと理解して、関心を寄せてもらったときがうれしかったです。
お薬の授業のときって、薬の正しい扱い方を知ってもらうのと同時に、薬物乱用の怖い話もしますよね。
そうすると、薬の怖さが印象に残るのか、そこにフォーカスした感想をくれるこどもが多いのです。
でも、少数ですが、薬の良い面も悪い面もちゃんと分かってくれるこどもがいて、そんなときは、分かってもらえてうれしい、とやりがいを感じます。
井上さん:
中村さんはどうですか?
中村さん:
実はぼく、自分のこどもが通っている小学校の学校薬剤師をしていたんですけど・・・。
狩野さん:
それはお子さんもうれしいでしょうね。喜んだんじゃないですか?
中村さん:
ぼくもそう思って、張り切って授業に臨んだんです。
後日、担任の先生から御礼のお手紙をもらって、すごく楽しみにしながら読み進めていったのに、最後の1枚までいっても、うちのこどもの手紙がなかった(笑)。
井上さん:
え!?
中村さん:
うちの子は手紙を書いてくれていなかったみたいで・・・。
こどもたちからの手紙のエピソードというと、そのインパクトが強すぎて(笑)。
井上さん:
ですね(笑)。
狩野さん:
それは忘れられないですね(笑)。
中村さん:
(笑)。
というのはさておき。
手紙ではないんですけど、授業の最後の質疑応答で「どうして薬剤師になったんですか」って、進路相談をされたことが印象に残っています。
ぼくたち学校薬剤師の活動をみて、「薬剤師」という仕事に興味を持ってもらえたのだな、と感じてうれしかったですね。
おわりに
学校薬剤師のお仕事は、薬局のなかではたらくのとは、また違ったやりがいがありそうですね。
それにしても、薬剤師に興味をもって、将来の仕事に・・・と思ってくれるこどもがいるなんて、うれしい!
あこがれのカッコイイ薬剤師でいられるように、がんばりたいですね。