
登場人物
ヤクオ
なんかいろいろあって、薬局を辞職。
活き活きと楽しくはたらける伝説の薬局と仲間を探している。
クスリン
「クスリンの薬剤師ジンザイ商会」の経営者。
「僕と契約して、給料据え置きボーナスなしではたらいてよ」が口癖。

ファーマン
迷える薬剤師の味方。伝説のヒーロー。
勤務時間は9時-18時。
導かれし薬剤師たち
あっさり辞められてよかった~。
これからが、ぼくの薬剤師人生、本当のスタートだ。
自分の「天職」を全うすることができるという「伝説の薬局」を求めて、仕事探しをするぞ!!!
と意気込んで、ネットサーフィンをしたり、求人フリーペーパーや新聞の求人広告を見始めて1カ月。
伝説の薬局は未だ見つからない。

そんなとき、ぼくは「伝説の薬局」を見つける手助けをしてくれる「クスリンの薬剤師ジンザイ商会」という人材紹介サービスの会社を見つけた。
クスリンの薬剤師ジンザイ商会には、全国から薬剤師に関するさまざまな情報が集まってくる。いわゆる薬剤師専門の転職や就職の支援サービスを提供する会社らしい。
オーナーのクスリンが、集まってきた薬局の情報と、職を求める薬剤師をマッチングさせて、「この薬局こそが、その人の“伝説の薬局”」という薬局を紹介してくれるという。


お問合せありがとうございます。
あの案件ですね。人気の案件なので、現状を確認しますね。
では、まずこちらのシートにプロフィールと、これまでのご略歴の記載をお願いします。

まずはまだ応募できる状況かを確認してもらってから……。

企業さんの情報は、会員登録が終わってからじゃないとお教えできないんですよ。
というわけで、こちらお願いしますね。

サービス利用のため、とりあえず会員登録をお願いします。
転職支援サービスを使うには、まず個人情報の登録(履歴書、職務経歴書に書くような内容)を求められるぞ!
頻出ワードなので、ぜひ押さえてほしい。
登録なしには、どんなにささいな情報も教えてもらうことはできないはずだ。
ラスボスの魔王の城が、徒歩でも船でも気球でもアクセスできないような鉄壁の守りで固められているように、人材紹介会社に集まる情報も強固な守秘義務という壁に守られているようだ。
逆に考えると、自分の情報も漏れにくいということに違いない! そう考えたら、利用するのに安心なのかも。
幻の高額案件
結局、問合せた案件は人員充足ということで応募できなかった。
なんか、個人情報を都合よくとられたみたいでモヤモヤするが仕方ない。というか、モヤっている場合じゃない。
国民健康保険、国民年金、住民税、家賃、カードの支払いが目前に迫っている。はたらかねば・・・。
と、思っていた矢先にクスリンから連絡が入った。

地方派遣の案件なんだけど、家賃交通費つきで時給4000円。
どうかな?

あ、ぜひお願いします。

じゃあ、詳細決まったらまた連絡するね。

(やった!一歩前進だ!!)
~それから1週間~
音沙汰無し。
~それから、さらに1週間~
まだ音沙汰無し。
ちょっと、連絡してみるか。


~それから、さらに、さらに1週間~


あれね、今回無しになっちゃった。
人気案件は早い者勝ちなんだよね。またよろしくね。

結局、母さんにお金を借りて諸税を支払いました。
伝説の薬局はいったいどこにあるんだろう。
人材紹介サービスを使うと良く出てくるキーワードだ。
ぜひ覚えておいて欲しい。
案件の中には、言葉通りの「早い者勝ち」の即決案件と、「先方さんが、ほかの応募者さんと比較検討して決めたいようなので、あと1週間待ってください」と待機が必要な案件の大きく2タイプがあるようだ。
派遣だと「早い者勝ち」案件が多く、正社員だと「じっくり比較検討」で待たされる案件が多い印象。
空と海と大地と呪われた薬局
無策で辞めたのが失敗だったか。
辞職して2カ月も経ってしまった。
いろいろ問題のある薬局だったけど、辞めずにガマンすればよかったのだろうか……。

来週から都内・時給3000円の案件があるんだけど、紹介予定派遣ってことで、どうかな?






ほんと、良い薬局だからさあ。よろしくねー。
~勤務1日目~


うちの店舗じゃないと思いますよぉ。
(ジェルネイルでぴかぴかの指で、髪の毛いじいじ)
~クスリンに確認の電話~

先方との連絡の行き違いで、別の店舗だったみたい。
正しい店舗は・・・・・・。
~正しい勤務先へ移動~

~薬局にようやく到着~

支度できたら、すぐに勤務開始してください。
あと、昼休みは施設外に出られないので施設内の食堂を利用してください。

(ロッカーはおろか、荷物置きも用意してくれないのか。着替えや荷物は全部床置きとは・・・)
~勤務2日目~

うちの薬局では、くぁwせdrftgyふじこlp

~勤務3日目~
朝9時。
勤務開始時間。
薬局が開いていない。
~クスリンに電話で確認~

今日は臨時休業なんだって。
連絡するの忘れてた! ほんとごめんね。

辞めさせていただきます。
すべて、わりとよくあるトラブル。
トラブルの原因は、勤務先にある場合、紹介元にある場合、その複合パターンとさまざま。
はたらく人に対して、誠実な勤務先と紹介元を選びたい。
もうダメだ。
薬剤師として輝ける、やりがいをみつけられる伝説の薬局ではたらきたくて辞職したはずなのに・・・・・・。
伝説の薬局なんて、見つけられっこないし、そもそも存在しないんだ。


給料と雇用条件の守り人
ぼくの前に現れた、白衣をはためかせるあやしい男は、薬剤師業界の伝説のヒーロー「ファーマン」だった。

(名刺、すっ)


これからは君の雇用と給料は私が守る!


18時なので私はこれで!!
ヤクオくんも、早く帰宅するがいい。もう18時だよ。ではまた!

勤務時間は9時-18時で、基本的に残業はしないというヒーローは、一枚の名刺をぼくの手に残して立ち去っていった。
あの人は信頼できるのだろうか。
今度こそ、信じて良いのだろうか?
分からない。
でも、後がない。
ぼくは迷う気持ちを抱えたまま、帰りの電車の中でファーマンにメールを送った。
そして伝説の薬局へ・・・?
ダンジョン薬局との契約が終了するその日、ファーマンと近所のカフェで待ち合わせた。求人案件を紹介してもらうためだ。
ファーマンが差し出した求人票はたった1枚。



分からないことがあったら、何でも聞いてほしい。
条件の折り合いがつかない箇所は、先方と話し合って交渉してみるよ。
合わないようだったら、もちろんほかの薬局を探して紹介する。

よく考えてお返事します。


今度こそ、薬剤師が自分の力を最大限に発揮できるという「伝説の薬局」に出会えるのだろうか。
まだ分からないけど、ずっと真っ暗だったぼくの薬剤師人生にようやく光が見えた気がした。
まとめ
ファーマンのサポートで、ヤクオは最高の薬剤師仲間がいる薬局に出会った。今は、その薬局でやりがいを感じながらはたらいている。

そのためには、紹介先と勤務先の会社が誠実かどうかを見極めよう。
そのうえで「この薬局の、この人となら、気持ちよく仕事ができそう」と思えるかを考えてみよう。これが、伝説の薬局に出会えるかどうかのポイントだよ。
そして、相手にもそう思ってもらえたら良いよね。
やっぱり、一握りの薬剤師しかたどり着けないという伝説の薬局への道のりは厳しいんだな。
焦らずにいこう! と、言いたいところだけど、懐が寂しくなってきたぞ。
住民税、年金、健康保険の支払いが、こんなに重くのしかかってくるとは……。
無職おそるべし……。
とりあえず、何か仕事を探して働き始めないと……。