長崎の離島にある薬局ではたらいてきた
「離島の薬局ではたらく」
そう聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?
わたしは「Dr.コトー診療所」が頭に浮かびました。
ところが、行ってみたら離島の薬局の印象がかなり変わりました。都市部の薬局とほとんど差がないように思えたからです。
実際の離島の薬局はどんな風なのか。
今回ご縁があり、長崎県五島列島の福江島にある「あい調剤薬局南町店」さんで勤務させて頂いたので、その体験をお伝えしたいと思います。
急配で頼んだ医薬品が、なんと15分で到着!
離島には卸さんはなく、医薬品の配送はきっと1カ月に1回。
そんなイメージを持っていました。
すみません。
ぜんぜん違いました。
日曜日なのに、急配で頼んだ医薬品が、なんとたったの15分で届きました!(平日は5分で届くことも普通だそうです。すごい・・・・・)
お薬が来たとき、一瞬何が起こったのか分からないくらいの即配っぷりです。わたしが知っている急配というと、数時間はかかるもの。それが、福江では頼んだらすぐに持ってきてくれます。
「島内に通院している患者さまのなかには、近くの島から通っている方もおられます。通院手段は船。船は1本乗りそびれると次の便まで4時間空いてしまうこともあります。卸さんは、通院している患者さまのこういった事情をよくご存知なので、頼んだ医薬品はすぐに配達してくれます」
しかも、卸さんは島内に4社もあるそう。
離島では医薬品の入手はままならないというのはまったくの誤解でした。
むしろ、都心の薬局とかよりも急配の対応が早い!! です。
あい調剤薬局南町店でも使ってた! 原崎大作さん開発の調剤監査システム
そうそう、これ。
鹿児島の原崎さんが開発した調剤監査システム!
余談ですが、今回取材をさせて頂いた管理薬剤師の田中秀和さんと原崎さんは10年来の薬剤師仲間だそう。
生年月日、血液型、性別も一緒なら、奥さんの年齢、お子さんの数、大学の留年回数も同じで、田中さん曰く「双子以上ともいえる気持ち悪い関係(笑)」なのだとか。
そんな原崎さんのところの調剤監査システム。自宅に放置されている使っていないWebカメラと、同じく使っていないパソコンがあれば、基本的に無料で導入できちゃいます!
わたし、今回初めて使いました!
どうやって使うのかというと、カメラの撮影範囲に入る場所でお薬の最終チェックをするだけ。
そうすると、いつの間にか自動的に写真が撮られてパソコンに保存されているという仕組みです。
不思議でしょう?
「薬の写真を撮るぞー!」というアクションをしなくても、勝手にカメラが写真を撮ってくれるんですよ。
どうして必要な写真を選んで、自動で撮ってくれるんだろう・・・・・・。
鹿児島の原崎さんのところに行ったとき、どういう仕組みになっているのか、うっかり聞きそびれていたので、田中さんに教えてもらいました。
お話によると、
①カメラに映る範囲の中でさらに動作確認を行う範囲を設定する
②その中で色が一定以上変わったタイミングで自動撮影してくれる
という仕組みのアプリを使用しているらしいです。
すごいアプリですね。
そして、アプリを見つけて、監査システムに転用しようと考える原崎さんの発想、すごいですよね。
わたしがIT音痴なため、ものすごくざっくりとした説明になってしまったので、詳細を知りたい方は、原崎さんのこの本を読んでみてください!
システム導入の方法が丁寧に書かれています。
本の中にあるマニュアルを見ながらだったら、わたしにも設置できそうな感じでした!
いやあ、実際に使ってみて、なんか魔法みたいな監査システムだと思いました。
取材や派遣薬剤師の仕事で、いろいろなメーカーさんの監査システムを見てきましたが、コスト、性能、使いやすさにおいて、数百万円の監査システムと比べても遜色ないのではないかと思います。
なんといっても、こっちが「監査システムを通すぞ」というアクションをしなくても良いのがいい!
監査システムを導入している薬局さんでしばしば耳にするのが「監査システムを通し忘れる」ということ。投薬までの工数が増えるから、つい漏れ・抜けが出るんですよね。
でも、それじゃあダメですよね。せっかく導入した監査システムの意味がなくなってしまいます。
その問題点をさくっとクリアしているのがすごい!
処方箋受け取りから監査までの工程に、何一つ手間も時間も増やすことなく、安心感と確実性を得られるのがすばらしい。
別に宣伝でもなんでもないですが(笑)、監査システムに数百万円とか投資できないという薬局さんに、うってつけの監査システムだと実感しました。
「低コストで導入できて画像を残せるので、患者さんからの“薬の数が間違ってる”“薬が入っていなかった” という指摘に自信を持って対応できるようになりました」
記憶に頼らずに事実を述べられるので、患者さんからの信頼を損なわずに、しかも納得感を持っていただけるのが良いと田中さんは言います。
薬剤師ならだれでも経験したことがあるに違いない、投薬後にふと襲われる「あの薬、間違って出した気がする・・・」という不安に陥ったときにも大活躍しそうです。
全員が登録販売者の資格を取得! 優秀すぎる「あい調剤薬局南町店」の医療事務さんたち
薬局にお邪魔して驚いたのは、何気なく見た医療事務さんたち全員の名札のお名前の隣に「登録販売者」の文字が併記されていたことです。
実は、本店勤務のある医療事務さんが第1回の登録販売者試験を自主的に受けて合格したのをきっかけに、自然と「みんなも資格とってみようよ!」という雰囲気になったのだとか。
「試験に使うテキストは、代々、次に受験するスタッフに受け継いでいます。自分が受けるときにはプレッシャーでしたよ。みんな一発で合格しているので、落ちるわけにはいかないと思いました(笑)」
と、登録販売者の谷川さん。
同じく、登録販売者の松原さんは、
「あい調剤薬局では、社長が社員の“勉強したい”という気持ちを後押ししてくれます。試験は島から長崎に行って受験しなくてはならないのですが、そのときの交通費・宿泊費・受験費用なども負担してくださいました。本当にありがたかったです」
そう笑顔で答えてくれました。
あい調剤薬局南町店では、スタッフさん同士が自然とお互いにスキルアップのための情報を交換しあい、それを業務に反映させて、全員でレベルアップし、成長していく薬局さんなのだと感じました。素敵ですね!
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あい調剤薬局南町店
〒853-0018
長崎県五島市池田町5-22
TEL:0959-72-4561
MAIL:ai.pharmacy.south@gmail.com
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まとめ
離島・福江島に暮らす人たちに、あたたかな医療を提供し続けている「あい調剤薬局南町店」さん。
素晴らしいと思ったのは、薬剤師数が潤沢というわけではないことをスタッフさん全員がしっかり把握されていて、人手不足をカバーし、患者さまにご迷惑をかけないために何をすれば良いのかを常に考えて動いていらっしゃったこと。
患者さまが来局してから「お大事に」を言うまでの導線が非常にスムーズで、きっとスタッフ間の連携が密なのだろうなと思いました。
また、わたしがあわあわしていると、すっと必要なアイテム(問診票や吸入のデモ機など)を提供してくださったり、「次、これをお願いします!」と、薬局の流れにうまく乗れるようサポートしてくださったので、めちゃくちゃ頼もしく、とてもはたらきやすかったです。
社長や、田中さんの患者さまに対する想いが、医療スタッフさん全員にしっかりと伝わっているからこその、温かみがあり、居心地の良い雰囲気なのだなと感じました。
“長崎の離島にある薬局ではたらいてきた” に対して2件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。
私も以前、あい調剤薬局本店に勤めさせて頂きました。
私は結婚を機に島を離れることになり、やむ終えず退社いたしましたが、五島に居たならずっと働いていたいと思っていた職場でした。
社長は社員を想ってくださる方で、何に対しても社員の事を気遣ってくれる方でした。
社長の息子さんである南町店の田中さんとも一緒に仕事させて頂いたこともあり、私が分からないこと、疑問に思ったことはよく田中さんにも相談させて頂きました。分かりやすく丁寧に的確に指導して頂いたことを思い出しました。
当たり前の事でしょうが、あい調剤薬局は患者様第一。患者様を待たせない。でも、監査はキッチリと。間違いは絶対許されない事を大事にしていました。
これはあい調剤薬局立ち上げ時からお世話になった私がとても感じていたことです。
こんなにいい職場はないなぁ~と今になってよく思います。
田中さんがよく活躍されていることをFacebookで拝見します。
これからも患者様第一で、患者様に寄り添える薬局であって欲しいです。
ひろみさん、こんにちは!
コメントありがとうございます。薬剤師ライターの高垣です。
ひろみさんは、本店と南町店の両方で勤務なさっていたのですね!
本店と南町店では、処方箋の内容もだいぶ違い、雰囲気が異なるそうですよね。
ひろみさんのおっしゃる通り、患者様を第一に考えていらっしゃっている薬局様だと、短い時間でしたが、わたしも感じました。
そして、患者様のみならず社員のことも、とても大切にしてくださる薬局様ですよね。大切にされてると感じると、はたらいている側も会社を大切にしたいときっと思うのだな・・・と、社員の皆様の雰囲気から感じました。ものすごく居心地がよく、はたらきやすい薬局様ですよね!これからのご活躍も楽しみですよね。